人間で在る以上、様々な感情が世の中を渦巻きます。
たとえば、自身の中に感情や価値観、思想、意志によって相対するものや特定の存在を差別してしまうことがあります。過去のブログでも差別について取り上げましたが、今回は「差別に関する情報をいろいろと集めてみた」ので、こちらも参考していってください。
人間である以上、差別が存在することは切ないものですが、仕方のないものですね…。
≪Contents≫
差別とIQとの関係性
2012年に公開された、15,874名のイギリス人を対象にした研究がありますのでご紹介。
この研究は「IQが高い人の特徴」を調査したもので、被験者は子供のころにIQテストを受けた人だけを選抜し、さらに
- 私は他の人種と働くことに気をかけない
- 同じグループには様々なタイプの人が参加していた方が良い
といった文章にどれだけ共感できるかを答えてもらったそうです。
この研究チームの目的は、過去のデータを鑑みて「差別や偏見の感情がIQと相関してるのでは?」というところにあるのですね。
結果は研究チームの推察のとおりで、IQが高い人ほど差別や偏見が少ない傾向があることがわかりました。
研究チームによると、
今回の研究では、幼年期の認知機能の高さが、成人後のレイシズム(人種差別)を予測することがわかった。
これは抽象思考能力の高さによるものである可能性があり、認知機能が偏見の醸成に重大な役割を果たしていると考えられる。
とコメントしています。
抽象的に物事を考えられる人ほど、差別や偏見、先入観にとらわれないわけですね!
性差別的思考とヤバい人との関係性
2020年に公開された、性差別と性差別に関するデータをご紹介します。
ヤバい人といえば、当ブログでも散々取り上げた内容ですが、
- 感情の欠落
- 他人を支配しようとする
- 極端に自分が大好きで自分中心に考えすぎる
が主な特徴で、これにサディストを加えることもありますね。
ただ、一時の感情が暴走してしまうことは誰にでもありますので、これらの特徴が出たからといって断定することは早計です。
話を戻しますが、これは295名のアメリカ人男女を対象にした調査で、
- ダークトライアド(上記のような特徴をもった人の総称)の特徴
- 性差別的思考
をチェックしていき、2つの相関性を確かめたものとなっています。
ここでの性差別思考とは、「男性は女性を支配することで権力を得ようとする」などといった文章に賛同できるかどうかで評価しています。
その結果、以下のような傾向が見られたようです。
- 全体的に、男性は女性よりもダークトライアドのスコアが高く、より性差別思考を持っている確率が高い
- 男女ともに、ダークトライアドスコアと性差別思考の間には相関性が見られた
当然ですが、因果関係が不明なので、この研究だけでの判断が難しいです。
性差別的思考がダークトライアドを助長させているのか、ダークトライアドの特徴を持った人々が性差別的思考を持っているかがわかりませんからね。
ひとまず、研究チームが推察した総論は、「性差別は、ダークトライアドを助長させる要素として考えたほうが良いのでは?」としています。
同性愛差別と精神病質との関係性
2015年に公開された、同性愛差別と精神病質に関するデータをご紹介します。
これはイタリアの研究者による実験で、560名の学生を対象に同性愛嫌悪と心理的な障害との関係を調査したものです。まずは参加者全員のメンタルヘルスをDSM-5 (精神疾患の診断マニュアル)でチェックしたうえで、以下の質問紙に回答してもらいました。
- ホモフォビア尺度:同性愛嫌悪を判断する
- 防衛スタイル測定尺度:不快な状況になったとき、どのような行動を摂る傾向にあるかを判断する
- 症状チェックリスト:精神病の兆候があるかどうかを判断する
ここで重要なのは2番の「防衛スタイル」です。
人間は誰もが独自の防衛スタイルを持ってまして、嫌い・苦手な相手と相対しなければならない状況などでは、それぞれの人格によって異なる対処法をおこないます。
具体的には、
- 成熟した防衛スタイル:感情を表さず、ユーモアなどで乗り越える。
- 神経質な防衛スタイル:相手の不快な側面に焦点を当てず、不快な面を「なかったこと」にする。
- 未熟な防衛スタイル:本来なら自分が敵意を持ってるハズなのに、「相手は自分に敵意がある!」と思い込む。または、言葉の暴力や実際的な暴力に訴える。
というものがあります。
とくに「未熟な防衛スタイル」は精神病につながりやすく、メンタルヘルスの指標として役立っています。
参加全員のデータを統計処理していった結果、以下のことがわかったようです。
- 女性よりも男性のほうが同性愛嫌悪は多い
- 同性愛嫌悪者ほど「未熟な防衛スタイル」をおこなう
- 同性愛嫌悪者ほど精神病質傾向が強い
- 神経質な防衛スタイルは同性愛嫌悪とは無関係だが、うつ病になりやすい
この「精神病質傾向」は精神病にかかりやすい特性のことで、
- 敵対意識が強い
- 被害者意識が強い
- 道徳意識が低い
- 一般常識が低い
といった性格が見受けられます。
この特性が強くなりすぎると、統合失調症や双極性障害に発展してしまう可能性が高いとされています。
精神病質傾向の強い人は他者への恐怖感が強く、基本的に周囲の環境に敏感です。
なので、いわゆるマイノリティという自分とは異質なものに恐怖を覚えます。そして、防衛スタイルが未熟だからその恐怖が怒りに変わり、被害者意識によって「同性愛者が自分に怒りを向けている!」へと錯覚させます。結果として、同性愛者への敵意が差別へと繋がる構造になります。
研究者に言わせると「同性愛が病気か否かについて、本当に治療が必要なのは同性愛差別者である」ようですね。
しかし、この研究は18~30歳を対象にしていますし、宗教の差を考慮していないので、あくまでも参考レベルでしょう。
ということで、データを見ていく限り
- 差別をする人は、知性が低い傾向にある
- 差別をする人は、女性よりも男性に多くみられる
- 差別をする人は、ヤバい性格特性を持っている可能性がある
- 差別をする人は、メンタルが病みやすい性格をしている可能性がある
が言えるのかな?…と。
本来ならば、この世には多種多様な人間が存在し、その存在は唯一無二で尊いものです。
だからこそ、個人と個人が「同じ人間である」という尊厳があるのですが、それを容認し難いのが人間の性でしょうね。
分かりあえることが難しくとも、理解は示していきたいものです。
【参考文献】
[Bright Minds and Dark Attitudes: Lower Cognitive Ability Predicts Greater Prejudice Through Right-Wing Ideology and Low Intergroup Contact]
[How much of the dark triad is accounted for by sexism?]
[Psychoticism, Immature Defense Mechanisms and a Fearful Attachment Style are Associated with a Higher Homophobic Attitude]