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筋トレをすることでダイエット時の「痩せにくい身体」になる問題は解決できるのか?

体重を一気に落とすと、間違いなく代謝が低下してしまいます。
そして、一気に体重を落とすと、健康にもろもろの弊害が起きてしまうのでお注意を…。

「一気に落とさないといけない…!」という事情があるのなら、それはしかたありません。
一気に体重を落とすと代謝が落ちてしまうということは、つまりは「痩せにくい体質になる」ということ。ここで浮上する疑問は『筋トレをすることでダイエット時の「痩せにくい身体」になる問題』は解決できるのか?…ということ。

筋肉がつくと、基本的に安静時代謝があがります。
ここで、一気に体重を落としたとしても、代謝も落ちてしまう弊害を食い止められるかもしれない問題のサポートになるのかもしれないのです。今回のブログは、そんな疑問への回答をしていきます。

 

 

食事制限とハードな筋トレの組み合わせは安静時代謝の維持に役立つのか

 

これは2012年に出た実験で、食事制限とハードな筋トレの併用が、代謝低下対策に貢献するのかを検証してくれています。実験の参加者は、49±5%の体脂肪を伴う重度の肥満(×±SD;ボディマス指数49.4±9.4 kg / m(2))の16名(男性が7名、女性が9名)で、参加者には以下のような生活をしてもらいました。

 

  • トレーニングは週6日、1日90分の運動をおこなう。運動内容は、激しいサーキット系のレジスタンストレーニングおよび有酸素トレーニングで構成されており、1日3時間までの運動が奨励されていた
  • 参加者はカロリー制限も指示されていて、これを30週続けてもらう
  • 検査は6週目と30週目におこなわれ、体組成はDEXAで測定する。一日の総エネルギー消費量は二重標識水で判断した

 

御覧のとおり、かなりハードな運動に加え、そこにカロリー制限がおこなわれております。
このようなプログラムをおこなった結果、以下のようなデータが得られたようです。

 

  1. 体組成の変化:参加者の体重は、平均して37.9%減少した。筋肉と脂肪量の双方が減少したものの、筋肉の減少よりも体脂肪の減少が大幅に大きかった(体重減少のうち筋肉は17.4%減、残りは体脂肪だった)。また、体脂肪率は49% → 28%に減少した
  2. 安静時代謝の変化:30週目までに、安静時代謝はベースラインから1日あたり800kcal近く減少した。これは、年齢、性別、体組成から予測された安静時代謝よりも、1日あたり500kcal以上低かった
  3. 1日の総エネルギー消費量:6週目の検査では、総エネルギー消費量は1日あたり800kcal以上増加した。しかし、30週目までには1日の総エネルギー消費量は大きく減少した。これについては、6週目は運動量の大幅な増加によるもので、30週目は体重減少によるものだと思われる
  4. 身体活動のエネルギー消費量:身体活動エネルギー消費は、ベースラインと比較して6週目に有意に増加した。30週目には6週目よりも減少していたが、ベースラインのレベルよりも有意に高かった
  5. 体重減少量と代謝適応(=消費カロリー減少する現象)の相関関係は0.61(=けっこう高い関係性がある)だった

 

取り上げたい点と考察ですが、

 

  • ハードな筋トレとカロリー制限の組み合わせで急激に体重を落としても、肥満体の場合は脂肪がメインに落ちて、筋肉はそれほど落ちない
  • これは肥満体によって得られたデータであり、標準体重の人の場合は同様の結果にならない可能性がある。もしかすると、筋肉が大きく落ちる可能性がある
  • 筋肉がわずかながら維持されていたものの、安静時代謝は大幅に減少した
  • これについては、水分量などの変化や臓器の熱産生を考慮してないため、数値が大きく出ている可能性がある

 

つまり、ボリュームの大きいハードなトレーニングをしても、激しいダイエットによる代謝低下を防ぐことが難しいかもしれない…ということ。個人的には、こんなムチャをすると後遺症が怖いものです。

やっぱり地道な努力しかなく、代謝低下対策はゆっくり落としていくしかないのでしょう☆

 

 

【参考文献】
[Metabolic slowing with massive weight loss despite preservation of fat-free mass]

 

 

 

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