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「私って繊細なの…」というけど、それはもしかするとナルシストなのでは?

HSPという言葉が、一般的にも浸透してきていると思われます。

HSPとは、1996年にエレイン・アーロン氏が作った言葉でして、感覚的な刺激に対する反応が強く、すぐに刺激に圧倒されてしまう人のことです。社会で生きていくのが困難で、いわゆる「繊細さん」と呼ばれる、敏感な脳の持ち主です。実のところ、「HSPとナルシストってけっこう似てない?」っていう話があるので、今回はそれをご紹介していきます。ちなみに、ナルシストに関しては過去のブログで取り扱っておりますので、どうぞ参考に…。

今回の情報を基に、HSPやそうと思われる方に接していきましょう。

 

 

HSPとナルシストとの類似性

 

参考にしているのは。2022年に出たグラーツ医科大学などの研究で、ここでの結論では「HSPの人は、同時に傷つきやすいナルシストの特性も所持している」とのこと。

この「傷つきやすいナルシスト=脆弱型ナルシシズム」とは、ナルシシズムの一形態で、「自己愛が強いものの、自信がないせいで常に不安感を持っているナルシスト」といった定義になります。自分が大好きながら、自分に自信が持てず、他者からの批判に耐性がほとんどない傾向にあります。このような特徴を、HSPも合わせ持ってる可能性があるのが、この研究での結論です。

 

研究では、ドイツの成人280名とイギリスの成人310名からなる2つの別々のサンプルでオンラインアンケートをおこない、対象者全員の性格特性や身体および精神の症状を回答してもらったそうです。

結果ですが、

 

  1. どちらの研究でも、HSPは脆弱型ナルシストと正の相関を示した
  2. 特に「興奮しやすい」という因子が、ナルシシズムの尺度と最も強く相関していた
  3. HSPは権利意識が強く、この要素もナルシストの思考と酷似していた

 

HSPと脆弱型ナルシストは似た性格特性があり、それが権利意識まで似ていた!…っていうこと。
研究チームによると、

HSPと脆弱型ナルシストは、両者とも「私は傷つきやすいから、あらゆる不快感も回避するのが当然である」という態度を示すことがわかる。

 

 

敢えて言い方を悪く表現しますと、自分のメンタルが弱いことをいいことに、それを特権意識として主張しているという感じです。何となくですが、創造に容易いですね(汗)

さらには「HSPとナルシシズムは神経症傾向と内向性の性格特性と関係しており、神経症傾向がこの2つの特性の共分散の大部分を説明していた」ということもわかり、研究チームいわく、HSPと脆弱型ナルシシズムは必ずしもイコールではないものの、両者は重要な要素が似ているとのこと。特に、長期的に個人の成長を阻害する可能性が高い自己規制メカニズムを共有しているそうです。このような問題は、特に「不快感は回避しなければならない」という態度を示す個人に該当しやすいようです。

HSPの人たちは、得てして「自分は他の人とは違う!」という感覚に日常的に苦しめられています。
その感覚が「自分は特別な人間である」や「自分は特別扱いされてしかるべきだ!」という発想に変換されてしまうかもしれません。こういった特徴はナルシシズムの基盤でして、これがHSPとナルシシズムが似ているという話です。

一番ヤバいのが「不快なものは、すべて排除すべきだ!」といった思考で、これがHSPやナルシシズムをもっている人は、注意が必要ですね!

 

 

 

HSPに酷似した「脆弱型ナルシスト」の判別テスト

 

HSPと脆弱型ナルシストが似ているため、「私って繊細なの…」と主張していながら、実はナルシストで可能性が十分にあります。

いわゆる「繊細さん」とナルシストの関係性は、ウェルズリー大学などの研究でも中程度の相関を報告しています。要は、「僕は(私は)、すっごいメンタルが繊細で……」とか思っていながら、実際は単なるナルシストな人がいるということ。別の角度で見ると、自分は内向的で豆腐メンタルと言っておきながら、その内心は「自分の素晴らしさを理解できないなんて、ありえない!」という気持ちが隠れているケースがあるのです。

 

そういったこともあり、自分ないし相手がHSPなのか脆弱型ナルシストなのかを判断する必要があると思います。

ウェルズリー大学などが420名の大学生を対象に行った研究から、「HSPのフリをした脆弱型ナルシスト」を判断できる評価テストが出ております。以下の質問に、自分がどれぐらい該当するかを評価してもらいます。

 

  1. 自身の個人的なこと、健康、心配事、他者との関係などを考えることに没頭することがある。
  2. 他者からの嘲笑や軽蔑などで、容易に感情を害する。
  3. 室内に入ると、他者からの視線を感じて気後れしてしまうことがよくある。
  4. 自身の功績を他者と共有するのが嫌いだ。
  5. 他者のことを気にせず、自身のことのみで十分だと思う。
  6. 自分には他者とは異なった特徴を持っていると感じている。
  7. よく他者の発言を個人的に解釈してしまう。
  8. 自身のことに夢中になり、他者の存在を忘れてしまう傾向にある。
  9. 少なくとも1人の人物から賞賛されないと、集団の中にいるのが嫌だ。
  10. 他者が自身の悩みを打ち明けて、こちらの時間や同情を求めてくると、密かに「気後れ」する、苛立つ。
  11. 格好いい人に嫉妬する。
  12. 批判されると屈辱を感じる傾向がある。
  13. 他者は、なぜ自分の良さをもっと支持してくれないのだろうと思う。
  14. 他者を善悪のどちらかに分類する傾向がある。
  15. 時々、理由もわからずに暴力的であることを妄想する。
  16. 成功と失敗に特に敏感だ。
  17. 私は、誰も理解していないような問題を抱えている。
  18. 私は、何が何でも拒絶を回避しようとする。
  19. 私が隠している思考、感情、行動がわかると、友人は震えおののくだろう。
  20. 私は、相手を尊敬する・軽蔑するといったような関係になる傾向にある。
  21. 友人と一緒にいても、孤独で不安な気持ちになることが多い。
  22. 私に持っていないものを持つ人に嫉妬する。
  23. 敗北や失望をすると恥や怒りを感じるが、それを表に出さないようにしている。

 

これらの質問を5点満点で評価します。

 

  • 1 = まったく当てはまらない
  • 2 = 当てはまらない
  • 3 = どちらともいえない
  • 4 = 当てはまる
  • 5 = とても当てはまる

 

すべての点数を合計し、そのうえで、以下のように判断していきます。

 

  • 大学生を対象にした研究では、この尺度の平均点は60点台半ば。もし自身のスコアがその範囲内の場合、「繊細さんのフリした脆弱型ナルシスト」が平均的。
  • スコアが40点以下であれば、平均よりもスコアは非常に低い。
  • スコアが82点以上であれば、平均よりもスコアは非常に高い。
  • スコアが97点以上であれば、脆弱型ナルシスト確定。

 

いかかでしたか?

ちなみに、僕もこのテストをしてみましたが、スコアは54点でした。
平均よりは低いものの、特別低いというわけではない、なんとも微妙な評価でしたね(笑)

 

 

【参考文献】
[Do highly sensitive persons display hypersensitive narcissism? Similarities and differences in the nomological networks of sensory processing sensitivity and vulnerable narcissism]
[Four Meanings of Introversion: Social, Thinking, Anxious, and Inhibited Introversion]
[An Expanded Version of the Hypersensitive Narcissism Scale: The Maladaptive Covert Narcissism Scale]

 

 

 

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