医食同源という言葉がありまして、これは「病気を治すのも日常の食事をするのも、ともに生命を養い健康を保つためには欠くことができないもの」という意味です。
なので、なにか症状が出たときは、食事を見直していくのも手段の1つです。これはメンタルの不調にも言えることでしょう。
うつになって薬物療法を用いることがあるでしょうが、
- 抗うつ剤で効果が出ない人が割と多い
- 副作用が出る割合がけっこうある
- プラシーボと比較して抗うつ剤の効果が低い
なんてことがわかっているため、健康的かつ長期的にみてメンタルの改善法の1つに食事が良いというわけです。
メンタルが不調の人は、結構な割合で食事内容がおろそかだったりしますからねぇ…。
今回は『食事によるメンタル改善はどれくらいの効果があるのか?』について突き詰めていきます。
2017年のメタ分析でも「食事によるメンタル改善効果」について結論を出していて、
- 果物、野菜、全粒穀物、魚、オリーブオイル、低脂肪乳製品、抗酸化物質の摂取量が多く、動物性食品の摂取量が少ない食事パターンは、うつ病リスクの低下と明確な関連性があった
- それに対し、赤身および/または加工肉、精製穀物、お菓子、高脂肪の乳製品、バター、ジャガイモ、高脂肪のグレービーソース、および果物や野菜の摂取量が少ない食事パターンは、うつ病リスクの上昇と明確な関連性があった
という感じで、西洋式の食事はうつ病のリスクを高めるかもしれないことがわかっています。
とはいうものの、この研究は観察研究をまとめたものなので、データの質としては低くその真価がわからないままです。
なので、新たに出ているメタ分析も見ていって、その結論も追っていきましょう!
食事によるメンタル改善効果の程度について
2019年に出たメタ分析は、
- RCTのみの16件の実験を抽出
- 21〜85歳の被験者45,826名分のデータをまとめる。
- 被験者はうつ病や不安の症状のみ
- 期間は10日~3年まで(中央値は12週間)
という、2017年のものよりも精度の高いものとなっております。
食事による改善法の内容なのですが、
- 栄養状態の改善 n=9
- 低脂肪食 n=4
- カロリー制限 n=4
というものです。
その結果なのですが、食事によるメンタル改善はうつ症状にそれなりに効果がある(「Hedges g = 0.408」)ことがわかったそうな!
「Hedges g = 0.408とはなんぞや?!」っていう印象を受けることかと思いますし、これがどれくらいの効果がわかりにくいでしょう。たとえば、同じメンタル改善で用いられる心理療法の1つで現段階でもっとも評価の高い認知行動療法の効果が「Hedges g = 0.53」です。
なので、食事によるメンタル改善は、それよりかは少し劣る程度というわけです。
総評としては「認知行動療法が一番効果的で、その次はリスクがあるものの薬物療法、そして心理療法のサポートになる食事の改善」というところでしょうね!
このメタ分析では、うつ症状を改善してくれる食材なども取り上げてくれています。
今更な感じのもので、当たり前に効果があるんだろうなぁ~~~…ってものばかりですが、どうぞ参考に!
- 果物
- 緑の野菜
- 緑茶
- 豆製品
- 全粒穀物
- ナッツ類
- 魚(脂肪が多いものほど良い)
- 貝類
飲み物に関しては緑茶だけがオススメされているので、まよったときは「とりあえず緑茶を飲もう!」っていう具合でよろしいのかと。効果そのものはそれほど高くはないものの、医食同源という言葉のとおり、日々の食事を大切にしていきましょう☆
【参考文献】
[Remission in major depressive disorder: a comparison of pharmacotherapy, psychotherapy, and control conditions]
[Addressing the Side Effects of Contemporary Antidepressant Drugs: A Comprehensive Review]
[Efficacy and acceptability of pharmacological treatments for depressive disorders in primary care: systematic review and network meta-analysis]
[Dietary patterns and depression risk: A meta-analysis]
[The Effects of Dietary Improvement on Symptoms of Depression and Anxiety: A Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials]
[A meta-analysis of cognitive-behavioural therapy for adult depression, alone and in comparison with other treatments]