「運動では痩せられない!」は、最早常識になってきており、その結論に至ったデータも揃ってきております。
単純に、運動によって消費されるカロリーは微々たるもので、たとえばランニングなら、
- 消費カロリー=体重(kg) × 距離(km)
で、体重70kgの人が5km走ったとすると、その消費カロリーは350kcal。
およそ、おにぎり2個食べてしまうと、その消費カロリーは回収してしまいますので、大幅に体重を落とすには向いておりません。それどころか、「これだけ運動をしたんだし、たくさん食べても大丈夫だろw」と、モラルハザードを起こして太ってしまうことがあります。
そういったことがあり、運動はダイエットではなく、ダイエットによる健康効果をブーストさせる存在であることを語っていきますので、どうぞ参考にしていってください♪
食餌療法における運動介入による健康への相乗効果
これは2023年に出たワシントン大学の調査でして、この調査では、「減量プログラム中の定期的な運動は、食餌療法のみの場合と比較して、代謝に大きな付加的恩恵がある。」と結論づけております。
基本的には、体重減少は食餌療法によるものだが、そこに運動を加えることで、減量による健康効果がブーストされるということ。運動が体重減少には関与していないものの、ダイエットの効果を爆上がりするのが嬉しいですね!
具体的な研究内容ですが、26名の成人を対象に複数の実験をおこなったものです。
たとえば、肥満で糖尿病予備軍かつ運動習慣のない男女たちに、低脂肪で植物中心の食事を続けてもらい、少しずつ体重の10%を減らしてもらったものがあります。そして、同じく肥満で糖尿病予備軍である別の男女に、比較対象と同じ食事を摂ってもらいながら、以下の運動を週6回の運動をするようにに指示しました。
- 週2回のペースで、トレッドミルを使った中等度の有酸素運動を約1時間おこなう
- 週1回のペースで、全身を満遍なく筋トレをおこなう
- 週1のペースで、インターバルトレーニングをおこなう
- 残りの2日間は、自宅で各自が考えたトレーニングをおこなう
このプログラムは、参加者の体重が10%減るまで続けられ、大体の人が目標達成までに費やした期間はおよそ5ヵ月とのこと。その前後に、研究チームが様々な健康測定をおこなったところ、結果は次のようになりました。
- 対照グループ(カロリー制限のみ)と、カロリー制限+運動グループは、両者とも体重減少の効果は同等だった。
- カロリー制限+運動のグループは、体重減少にも関わらず、インスリン感受性は2倍改善していた。
- 加えて、カロリー制限+運動のグループは、筋力が約13%、持久力が10%向上していた。また、筋肉内の新生血管とミトコンドリアの数も多かった
- 一方、カロリー制限だけのグループは、調査開始時と比較して筋力が約2%低下し、体力も6%低下した。
ということで、単純にダイエットするくらいなら、運動も合わせてしていくとおそろしいくらい健康になれるということですね!
ちなみに、ミトコンドリアについてはコチラをご覧くださいませ♪
今回の研究について研究チームは、
減量中にわざわざ運動する必要があるのだろうか?
そう考えるのは当然だ。結局のところ、ほとんどの場合、身体活動が体重減少にさほど影響を与えない。大抵の人にとって、減量のために運動を開始するよりも、カロリー制限をする方がよほど簡単である。しかし、今回の研究によって、運動がどれだけの健康効果を発揮するかを再認識しただろう。
としており、今回の結果は、研究チームにとっても良い意味で想定外だったのでしょうね…。
注意点を上げますと、これは小規模な実験で、かつすべての参加者は肥満で糖尿病予備軍だったということ。なので健康な人でも同様の効果が発揮されるかは不明です。健康な人も2倍の健康効果を発揮しなくても、カロリー制限+運動の組み合わせは良きかと思いますので、今回の結果は、カロリー制限+運動をしているときのヤル気アップにつなげれば良いかと思いますね☆