これまたケトジェニックダイエットについての投稿です。
過去には、
といったことを書いています。
あまりケトジェニックダイエットについて良いことを書いていない気がしますが、一応はダイエットとしては一定の効果はあります。
今回は『ケトジェニックダイエットについて伝えておきたいこと』について投稿いたします。
≪Contents≫
短期的な減量効果については確かに優れている
これは2014年に出たカナダのメタ分析でして、過去のダイエット研究から59件を選抜し、7,286名分のデータを統計処理したものとなっております。
日本でもメジャーな低糖質や低脂質など11種類のダイエット法の効果を比較していき、大きな結論を出していこうという、いわば「どのダイエット法が一番なのか?!」を決めよう研究ですね!
比較対象となったのは、以下の11種類となっております。
- アトキンス:いわゆる「低糖質ダイエット」。糖質の摂取量を総カロリーの4〜5%まで減らすところから始める。
- ザ・ビッゲスト・ルーザー:アメリカのテレビ番組から流行したダイエット。脂質の摂取を総カロリーの30%以下に減らし、個人の活動量に合わせたカロリー制限をおこなう。
- ジェニー・クレイグ:オーストラリア発の有名ダイエット企業。バランスの良い食事で減量を目指す。
- LEARNダイエット:低脂質ダイエットの一種。脂質の摂取を総カロリーの10%以下に減らす。
- ニュートリシステム:1970年代からあるダイエット企業。バランスの良い食事 + カロリー制限。
- オーニッシュ:低脂質ダイエットの一種。脂質の摂取を総カロリーの10%以下に減らす。
- ローズマリー・コンリー:超低脂質ダイエット。脂質の摂取を総カロリーの4%以下に減らす。
- サウスビーチ:高タンパク、低糖質、高食物繊維が特徴。
- ボリューメトリクス:カロリー密度の低い食品をメインに摂取する。
- ウェイトウォッチャーズ:1960年代からあるダイエット企業。バランスの良い食事 + 運動。
- ゾーンダイエット:やさしめの低糖質ダイエット。タンパク質・糖質・脂質の割合を3:4:3にする。
日本では耳にしないようなダイエット法ばかりラインナップされていますが、アメリカではメジャーなものばかりなんだとか…。
基本的には、低糖質か低脂質、もしくはバランス食をしていき、プラスしてカロリー制限か運動を取り入れる感じでしょうかね!
分析していった結果なのですが、
- どんなダイエット法でも一定の効果があった(つまり、何もしないよりかは何かダイエットした方が良い)。
- 開始から6ヶ月目の時点では、低糖質系ダイエットが最も効果は高い(平均8.73kg減)。ただし、低脂質系ダイエットも平均7.99kg減であり、さほどの差があるわけでもない。
- 12ヶ月目の時点では、低糖質系(7.27kg減)と低脂質系(7.25kg減)の差はなくなる。
- 個別のダイエット法を比較していくと、12ヶ月目の時点ではアトキンス(10.14kg減)とオーニッシュ(9.03kg減)の効果が最も高い。
- 短期的には、心理的なサポートを受けたほうが平均3.23kgの体重減があるが、長期的には心理的サポートの効果は減り、代わりにエクササイズの効果が上がる(2.13kg減)。
ということで、短期的に見れば「低糖質≒ケトジェニックダイエット」の効果が最も高いということ!
とはいえ、その効果も他のダイエット法と大差があるわけでもなく、長期的に見るとその差がほとんどなくなります。
しかも、短期決戦をするつもりなら、心理的サポートも視野に入れることも考える必要があります。
総評としては「ダイエット法には特に優劣なし!」っていう感じで、自分の好きなダイエット法で良いというところです。
食欲を抑えることができる
前項と合わせて考えると、やはりダイエット効果が高いことが伺えます。
今度は2015年に出た国際肥満研究協会(IASO)の系統的レビューをご紹介します。過去におこなわれたデータをまとめた、信ぴょう性の高い内容となっております。
こちらで出した結論といたしましては、ケトン食にすることで空腹感が少なく、食欲を減退させる効果があることがわかりました。
とはいえ、この研究には注意点がありまして、
- 実験データにはバラつきが大きく、食欲が減らなかったというデータも存在する
- 包括的に見ると、食欲減退効果が少ない
という評価です。
食欲のコントロールならタンパク質の方が健康的で効果的ですし、なにより簡単なのでケトジェニックダイエットでなくても大丈夫でしょう。
その他の効果について
その他、ケトジェニックダイエットにまつわる情報について解説していきます。
■脳機能に良い影響があるかもしれない
まず確実なところからいくと、ケトン食は小児てんかん発作の治療のために1920年代からおこなわれた治療法であるということです。
これはケトン食が脳の神経細胞に作用するからで、実際に子供が発作頻度の減少が報告されています。
16件の死亡例があるものの、大体が有害事象がないという点があります。あとはマウス実験ではあるものの、2016年のデータではケトン体による脳外傷の改善があるという報告があります。
とはいうものの、現在、ケトン体と脳機能については動物実験がメインなので、はっきりとしたことは言えません。
脳は脂肪でできていますので、とりあえずは質の良い脂肪は摂っておいた方が良いという感じでしょう。
■寿命が延びるかもしれない
理屈の上では、ケトジェニックダイエットによって寿命が延びるという噂があります。
海外では割とある主張もありますけど、このことについては根拠となる研究がなく、真偽のほどがはっきりしていません。
その理屈というのが、
- カロリー制限による寿命が延びる効果が動物実験によって確認されている
- ケトジェニックダイエットによって、体内に疑似的なカロリー制限の状態を作り出せる
- 理論上ではあるものの、ケトジェニックダイエットによって寿命が延びる
です。
ですが、長寿な人の主食が炭水化物だったりしますので、別にケトン食でなくても長寿にはなれるかな?…と思います。
■アンチエイジング効果があるかもしれない
ラット実験ではありますが、2016年のカリフォルニア大学の実験ではケトン食によって酸化ストレスが軽減し、ミトコンドリアの機能が改善したという報告があります。活性酸素は身体の老化をもたらす大きな原因のひとつですが、どうやらケトン体が活性酸素に効くようで、ケトジェニックダイエットがアンチエイジング効果がある可能性が否定できません。
それに対し、2014年にネイチャー論文では気になることが報告されています。
これは10名の男女に菜食中心と肉食中心(ケトン食)の、腸内フローラへの影響を調査した実験となっております。
結果は、
- 肉食中心(ケトン食)で腸内の痩せ菌が増えた
- ただし、細菌の種類が減少した
- 内毒素が増えていた
内毒素が増加するとリーキーガットの原因となりまして、これが体内に炎症を引き起きします。
体内の炎症はアンチエイジングの大敵で、美容を目指すなら、兎にも角にも抗炎症は必須項目です。
まとめますと、一気に絞り上げるなら、ケトジェニックダイエットは良いのかもしれませんね。
それ以外では、まだまだ断言できることが少ないのが正直なところ。
いたずらにケトジェニックダイエットを否定することができないので、いまのところは「お好みでどうぞ!」とアナウンスするレベルです。
個人的にはフルーツとか好きですし、スポーツや武道を嗜んでいますので、ケトン食は避けています☆
【参考文献】
[Comparison of weight loss among named diet programs in overweight and obese adults: a meta-analysis]
[Do ketogenic diets really suppress appetite? A systematic review and meta-analysis]
[A systematic review of the use of the ketogenic diet in childhood epilepsy]
[Effects of beta-hydroxybutyrate on brain vascular permeability in rats with traumatic brain injury]
[Monkey caloric restriction study shows big benefit; contradicts earlier study]
[Ketogenic diet decreases oxidative stress and improves mitochondrial respiratory complex activity]
[Diet rapidly and reproducibly alters the human gut microbiome]