相手の気持ちを理解する、まあ、これをカッコ良くすると「読心術」なんて言うのだろうけど…。
過去のブログでは、
なんてことを書いております。
よろしければ、ご一読くださいませ♪
さて、今回なのですが、そんな「相手の心を読む」をテーマに、小説に関する話をしていきます。
以前から小説は「共感能力が高くなる!」というデータがあるものの、中には否定的なデータも存在します。これについては、どうやら小説のジャンルによるものがあるのでは?って感じです。
そんな『相手の心を読むのが得意になる本・ダメになる本』について解説していきますので、よろしくお願いします!
ジャンルによる小説の効能の違い
これは2020年に出た調査でして、493名の成人(平均年齢34歳)を対象に、以下のようなアンケートをとっていきました。
- 普段からどのような小説をどれぐらい読んでいるか?:(用意した作家リストから、知っている作家を選択してもらう)
- 人間の行動の理由を理解することにどれぐらい興味を持っているか(=帰属複雑性のレベルについて)?
- 自己中心的バイアス(「相手は自分と思考・行動原理を共有している」と思っているレベルについて)があるかどうか?
- 相手の感情を読むのがどれだけ読み取れるか?(様々な人の「目の表情」のみを見て、その人物がどのような感情を抱いてるかを判断する)
上記のようなポイントをおさえて、すべてのデータを総括して普段の読書傾向と性格特性を比較していったそうです。研究では、参加者が愛読している小説のジャンルを2種類に分類、定義しています。
- 文学系小説:読者に対して能動的で、行間の理解や自分の視点を作り出すことを求め、複雑な登場人物が登場する。(ex.ドン・デリーロ、ジョナサン・フランゼン、アリス・マンローなど)
- エンタメ系小説=読者に対して受動的で、明確な意味を提供し、登場人物よりも物語に重きを置いている(ex.ダン・ブラウン、トム・クランシー、ジャッキー・コリンズなど)
正直なところ、どうやって文学系とエンタメ系を分類するのかが難しいと思います。
僕なんて、小説なんてほとんど読まないですから(汗)
得られたデータを総括すると、以下のようなことがわかったそうです。
文学系小説愛読者
- 帰属複雑性が高い(人間の行動や心理に興味・関心がある)
- 自己中心的バイアスが低い(皆が自分と同じ思考であると思いにくい)
- 相手の心を読む能力が高い
エンタメ系小説愛読者
- 帰属複雑性が低い(人間の行動や心理に興味・関心がない)
- 自己中心的バイアスが高い(皆が自分と同じ思考であると思いやすい)
この結果について研究チームは、
我々は、自身や対人関係、社会の構造などについて、フィクションから多くのことを学ぶ。
それは、フィクションが我々の世界観に影響を与えるということになる。しかし、すべてのフィクションが同等に思考を形成するわけではない。文学系小説を読むことで、他者が何を考え、何を思い、何を感じ、何を意図しているかなどを推測・表現するのが上手になるようだ。文学系小説は、エンタメ系小説よりもより複雑な人間心理の描写をしている。
そのため、文学愛読者は、他者の行動や社会について、より複雑なスキーマを養成しているのだろう。
文学系小説を読むことで、多種多様な視点や思考、価値観に触れることができるから、それだけ脳内の社会モデルが複雑になっているのでしょうね。
ちなみにですが、これだけだと文学的小説が優秀でエンタメ系小説がダメな印象があると思います。ですが、それについては研究チームも「我々は、文学がエンタメよりも優秀であると断言しているのではない。なぜなら、人間にはどちらの思考タイプも必要だからだ。」と注意喚起しています。研究チームによると「文学的思考は、他者を個性的な個人として評価し、我々に深い思考をうながす。これはとても重要な思考法だが、他方では、社会生活を快適に過ごせなくなる可能性もある。エンタメ的思考は、我々に社会的ルールを学習し、文化的スキーマを強化してくれるからだ。」と語ってくれています。
つまり、
- 文学的思考:多種多様な人の価値観の理解ができるものの、高すぎると考え込んで行動できなくなる
- エンタメ的思考:社会的規範を大切にするものの、高すぎると思考が凝り固まって他者を理解できなくなる
こんな感じでしょう。
考え方も、中庸が一番なのでしょうねぇ~~。。。
といった感じで、もしエンタメ的思考に偏って相手の気持ちが読み取りにくくなっているなら、文学的な小説を読んでみると良いでしょうな。
今は多様性を尊重している社会作りになっていますんで、一度、多種多様な思考に触れていきましょう。
自分自身が直接人と会って話をするにしても限界がありますから、そこは小説などから経験を得るのが効率が良いですね。
とはいて、僕の場合、小説を読む時間を捻出しないとなぁ…。