メニュー 閉じる

「やるか、やらないか!」のアドバイスはメンタルが病んでしまう時代

人生のアドバイスで「やるか、やらないか!」という言葉を耳にします。

人生は一度きりで、限りある人生の選択として常に考える必要があると思います。
僕も、「やる」と「やらない」の選択をしてきたので、このマインドは理解があると思っています。とはいえ、他人からこの問答を強制されたら、けっこうなほどイラっときますがね(笑)

ですが、厄介なことに『「やるか、やらないか!」のアドバイスはメンタルが病む時代になっている』みたいな話があります。今回は、そのことについてお伝えしていきます。

 

 

高学歴で裕福な若者のメンタルヘルス

 

これは2018年に出たアリゾナ州立大学などのチームによるレビューでして、主に「高学歴で裕福な若者の問題行動」について研究してくれています。

貧困による問題行動は有名ですが、実のところ、近年のデータでは高学歴で裕福な学生にも問題が多いと言われています。
具体的な問題行動ですが、現段階では以下のような傾向がみられるようです。

 

  • 高学歴で裕福な若者全員が該当するわけではないが、一般的な基準と比較すると深刻な不適応を示す割合がかなり高い
  • 社会と経済的地位が高い若者は、タバコ、アルコール、マリファナ、ハードドラッグの使用率が高い
  • 教育水準が高く裕福な家庭が多い地域では、アルコールとマリファナの使用量が多いことが報告されている
  • 社会と経済的地位が高い若者は、社会のルールを守らない傾向も報告されている
  • クラスメイトから「最も人気が高い人物」と支持された少年ほど、ドラッグの使用量が多い傾向がある

 

ドラッグはさすがアメリカですが、個人的な感想として日本でも当てはまっているな…と思っています。
どうして高学歴で裕福なのに、このような傾向がみられるかというと、

大きな問題は、意欲や忍耐力の欠如ではない。
むしろ、不健康なまでの完璧主義や、目標達成へのモチベーションが頂点に達したときに、あきらめて身を引くことができないことが問題なのである。

 

と研究チームは指摘しています。
いわゆる「グレて非行に走る」というより、「完璧であろう!」や「高い目標に向けて突き進む!」といったプレッシャーに飲み込まれてしまった結果、メンタルが病んで非行に走るケースが多いのだそうな…。

 

完璧主義の弊害は、昔から問題となっているメンタルヘルスの案件です。

高学歴で裕福な若者ほど完璧主義に陥りやすく、その悪影響で目標達成できそうでなくても「やればできる!」と選択して心がくじけてしまうのです。
実際に研究チームは、現代の若者について次のように述べています。

 

  • 現代の若者は、特にソーシャルメディア上などで、自己の完璧なイメージを示す傾向がある
  • 日常生活において、心の安らぎや支え、本当の自分を肯定してくれる大切な人間関係への投資に抵抗感を持つ傾向がある
  • 「自分は完璧な存在だけど、特に努力はしていない」というように振る舞う若者が増加している証拠もある

 

ここまでくると、本当に「SNSあるある」な感じがありますね(汗)

「やるか、やらないか!」といった精神自体は悪くはないものの、それが完璧主義までに至るのが問題。
このマインドセットになってしまうと不安や自己批判に陥り、どんなに努力しても満足できる成功、魅力、人気、賞賛を得られない気持ちになるようです。

こうなってしまうと、自分を賞賛してくれる人間しか受け入れられなくなるのも、納得がいきます。
なにせ、そうしないと生きていけない時代となっているんですからね。

 

 

 

 

研究チームは、

大人も若者も、「幸福への道は有名大学に入ることだ」という共通の信念を暗黙のうちに支持している。
そのため、高学歴で裕福な若者の間では、こういった緊迫感が特に強力になり、常時「目標達成しなければならない」というプレッシャーに襲われてしまう。

若者の努力は、もはや個人的願望や意志によるものではなく、現代の若者はプレッシャーに動かされている。
このプレッシャーは日常のストレスと相まって圧倒的なものとなり、不安や抑うつの高まり、演技的な行動、さらには苦痛から解放されることを目的に薬物・アルコールに手を染める。

我々は、世間にはびこる「できるのだから、やらなければならない」という信条が、短期的、長期的、個人的、社会的など、あらゆる影響を及ぼすかを真剣に考えた方がよいのかもしれない。

 

 

現代では、多くが外部からの圧力によって、強制的に外発的モチベーションのマインドセットにさせられています。

それもあってか「目標に向かって頑張るぞ!」や「自分はコレがやりたい!」という大切なマインドも、外野からのプレッシャーによって押し殺され、メンタルが病んでしまうのです。
僕個人の私見としては、「好きでやっているのだから、外野がとやかく言うんじゃない!」って思ってしまいます。実際に現代の遊びはストレス改善につながらないようで、「現代の遊びは堕落してしまっている。若者の遊びはプロフェッショナル化されており、チームスポーツは楽しい時間を過ごすことではなく、スキルの習得・勝敗にこだわる行為になってしまっている。」と研究チームは指摘しています。

有名動画で、好きなゲームを楽しんでいる様子を見るチャンネルに「マジ下手過ぎて草」と、お門違いのコメントしていることを想像すると分かりやすいですね。

 

こんなのばかりいると、無理やりにでも完璧に振る舞わないとダメなのかな?って思うのは当然です。

正直なところ、自分が完璧であろうという精神は問題で、そもそも人間は完璧ではありません。
「自分が定義する完璧を目指す!」なら、それは個人で頑張ってください!っていうだけの話です。ただでさえ完璧主義はメンタルを害するのに、それを相手に強要するのはナンセンスです(だったら、あんたはどうなの?)。

「それって、あなたの感想ですよね?」って言って突っぱねてください☆

 

 

【参考文献】
[Youth in High-Achieving Schools: Challenges to Mental Health and Directions for Evidence-Based Interventions]

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です