いろいろと便利なAI。
調べ物としても優秀ですし、文章作成が苦手な人は、手直し依頼をして文章を調整できて役に立つことでしょう。人によっては、お悩み相談に活用しているそうなのですが、果たして、「AIにお悩み相談するのはアリなのか!?」が気になるところ。
今回は、AI活用として、お悩み相談が有効なのかを徹底的に調べていこうかと思います。
精神疾患に対するAIの有効性
これは2026年に出たランダム化比較試験で、心理的苦痛を持っているイスラエルの大学生995名(平均年齢、23.1歳[2.4歳]、女性504名[50.7%])を対象に、以下の3つのグループに分かれて治療に取り組んでもらいます。
- 対話型AI「Kai」を使用したグループ
- 臨床心理士による対面グループ療法のグループ
- 待機リストグループ
研究で使われた対話型AI「Kai」とは、単なる雑談のみのチャットボットではなくて、CBTやACT、DBT、マインドフルネス、ポジティブ心理学などの知識がプログラミングされていて、日々の感情チェックや個別ルーティーンといった提案までしてくれる、カウンセリング特化型AIです。その一方で、対面グループ療法は、臨床心理士が担当もよる週1回90分のセッションで、AIグループと同等のスキルを持っているとのこと。その上で、参加者全員の不安やうつ、PTSD、幸福感、人生満足度測定していったそうです。
ちなみに、追跡期間は12週間です。
結果なのですが、
- 対話型AIを使用した参加者は、対面グループ療法や待機リストグループよりも、不安症状が大きく減少した。
- うつ症状や幸福感についても、AIグループは待機リストよりも改善が確認された。
- ただし、PTSDに関しては、有意差が確認されなかった。
以上のことから、AIは人間の代替にはならないものの、少なくとも軽い不安やうつ症状を調整する道具として活用できると言えそうです。
特に不安に対してAIが大きな改善が見られた理由につきまして、研究チームは「AIは即時対応してくれるからでは?」と考察しているそうです。一般的に不安は、ゆっくり蓄積してくるものではなく、瞬間的に現れるもので、
- 試験やプレゼン前に急激に緊張する
- 夜中に突然、将来のことで不安になる
- 過去の恐怖体験を突然思い出す
etc.
といった感じなので、すぐに対応してくれるAIは、ありがたい存在なのです。これがカウンセラーになりますと、基本的に勤務時間外では対応してくれませんし、自分の希望日時どおりに案内されない可能性があります。そうなりますと、「今すぐ相談に乗ってもらいたいのに!」ってなりまして、余計ストレスになります。
その点、AIなら一瞬で対応してくれまして、不安が限界突破する前に、呼吸法や認知療法、セルフコンパッションといった対策を即時立案してくれて、特に不安に関しては、大きなアドバンテージとなります。そして、不安を取り除いた後に、人生の幸福度あげるために、どういったことをしていけば良いのか!…という、その後のことも考えてくれます。なので、軽度のネガティブな状態なら、AIの方が優勢だといえます。
ひるがえって、PTSD症状については、AI、対面グループ療法、待機リスト共に大きな差がなく、解離やフラッシュバックといったものは、人間の専門家が慎重に進めていった方が良い領域でしょう。
ということで、AIのことで大まかにまとめますと、
- 軽~中レベルの不安やうつ症状程度なら、AIは便利なツールとして活用できる!
- でも、PTSDやトラウマレベルになると、人間に任せた方が良い!
となりまして、「AIがあるならカウンセラーなんてオワコンw」なんてことはなく、あくまで補助的な話し相手ぐらいに考えておくのが無難と言えます。
今回の研究でもうひとつ、「治療同盟」に関するデータであります。「治療同盟」とは、クライアントと支援者のあいだにある信頼感や協力関係のことを意味しておりまして、
- 「この人なら、自分のことを理解してくれるかもしれない」
- 「この人なら、安心して打ち明けても問題なさそうだ」
といった感覚のことです。心理療法では、この感覚の有無で治療の効果が大きく変化するとされております。今回の研究では、参加者はAIに対しても、人間のカウンセラーと同様に「温かみ」や「専門的である」と評価していたそうです。人間はAI相手でも「治療同盟」を結ぶことができ、この感覚が強い人ほど、メッセージ数の増加や、より深い関与、治療の効果も大きかったそうです。
僕らが人間相手に悩みを相談するときは、多少なりとも「変に思われないか」や「迷惑だと思われないか」と考えてしまいます。これがAI相手だと、そういったハードルが下がるので、AI相手の方が意志表示しやすいと感じる人が少なくないでしょう。なので「悩み相談の練習相手」としても、AIは有効な活用手段なのです。
今回のことを踏まえて、どのようにAIを活用していけばいいのかをまとめますと、
- 感情の整理:メンタルケアの基本として、自分の感情をラベリングすることから始まります。ネガティブなことがあるときは、AIに感情の整理を依頼するのが良いでしょう。感情や思考、身体で起きている反応(心拍や発汗など)、行動(叫びたくなるや貧乏ゆすりなど)にわける作業をすることで、冷静になることができます。
- 認知の歪みの修正:メンタルケアの基本として、認知の歪みチェックすることも大切です。自分の考えを素直に書き出し、その中に認知の歪みがないか、AIに現実的でトゲのない表現で指摘してもらいましょう。これは、極端な思考を現実に戻してくれる近道となります。
- 次の行動を提案してもらう:ネガティブな感情が軽くないときは、長期的な目標を考えるのがキツくなります。この段階では、あくまでもAIには、現段階でできる、簡単な行動を少数提案してもらいます。その中で、できるだけ簡単なものから順番に並べてもらいます。メンタルが病んでいるときは、できるだけ小さな行動を積み重ねていくことが大切です(※トラウマやPTSDレベルの重度のものは、潔く人間の専門医を頼ってください)。
改めてAIは、自分の思考の整理をするのに便利な道具だと思いましたね☆