差別発言や決め付け、ステレオタイプな考え方をする人っていますよね?
「女性は数学が苦手!パソコンが苦手!」
「男性は気がきかない!すぐムキになる!」
という具合ですね…。
正直なところ、こういったことが個人差がありますので、「○○だから△△だ!」と即決できるわけがありません。なので、こういった思考を持っている人は、どういった特徴があるのか気になりませんか?
今回は、そのことについてお話をしていきます。
実際、この事実を知ると、なんとも切ない気持ちになります。
とはいっても、差別発言を受けてしまってはたまったものではありません。話が合わない可能性が特大ですので、基本的に関わらないのが無難です。
一応ですが、論文を基に解説していきますので、ご了承ください。
≪Contents≫
差別や決め付け、先入観の強い人の特徴
この特徴については、実のところ心理学の世界では昔から言われていることです。
そして、過去のデータを基に「知性と差別との関係性」を調べたメタ分析によって、その事実を解き明かすことに成功しています。
結論から言いますと、『差別・決め付け・偏見・先入観…といったことをする人は知性が低い』ということが、数々の論文を解析することで明らかになりました!
人間なので、どうしても気付かないうちに偏見や先入観といったものをもってしまいます。ですが、それを抜きにしても、知性の低い人はこの傾向が強く出てしまうという結論がでてしまったのです。
たとえば、15,874名のイギリス人を対象にした研究があります。
被験者は子供のころにIQテストを受けた人のみを選抜し、さらに以下のような問いに、どれだけ賛成できるかどうか答えてもらいました。
- 私は他の人種と働くことを気にしない
- 自分と同じグループに「いろんなタイプの人」と一緒になっていた方が良い
この研究でも、差別意識が強いほどIQテストの成績が低く、反対に差別意識が弱い人ほどIQテストの成績が高かったようです。
この研究によって、幼年期の一般知性の高さが、成人後のレイシズム(人種主義:優等人種が劣等人種を支配する思想)を予測できるとしています。
研究者によると、『これは抽象思考能力(1つの物事から複数の要素を考えられるかどうか)の高さによるものとしていて、このような認知機能は、偏見を生みだす重要な役割を果たしていると考えられる』としています。
知性が低いと、物事を深く考える・複雑に考えることができず、単純に捉えることしかできなくなります。
いわば「良いのか、悪いのか」や「白か黒か」などといった風にしか判断できず、バックグラウンドを把握しようとしないのです。
…でここで終わらせると、これも偏見になりますので追記します。
たとえば家庭の事情などで、満足な教育を受けることができなかったということもあります。そういった人はキチンと教育を受けると改善できる可能性があります。しかし、満足な教育を受けても差別意識が強い場合、真正の差別主義者の場合が高いと言えます。
差別や決め付け、先入観を回避する方法
とはいえ、人間である以上、どうしても先入観といったバイアスがかかった考え方を多少なりともしてしまいます。
ですので、バイアスはできるだけ事前に意識して回避する方が良いですね。
バイアスを回避する方法の1つに、2014年に出た「バイアス回避ガイド」がありますので、これを基に回避方法を解説していきます。元々は意思決定論を取り扱っている雑誌に掲載されたもので、活用するには十分なのものです。
これはデューク大学とペンシルバニア大学の共同研究で、数十年の認知バイアス研究を基に結論を出した論文です。
そのポイントは、大まかに以下の5つで構成されています。
メンタルタイムトラベル
未来の自分を想像する方法です。
重要なのは、今の決断が失敗に終わったという「最悪の状態を想像する」ことです。
大多数の人は、失敗したときの想像力が足りないか、単純に自信過剰・過大評価で間違った決断をする傾向にあります。なので、あえてネガティブな未来を想像するすることで客観視しやすくなり、バイアスを回避しやすくなります。
強いストレスを受けているときは決断を避ける
バイアス回避をするにあたり、基本的に「客観的な決断はできない」と思ってください。
人間の意志力は、そのときの状況や環境によって左右され、その影響が強いものにストレスがあります。
怒りや不安といった心理的ストレスはもちろん、空腹や疲労、睡眠不足といった身体的ストレスでも意志力に悪影響があります。たとえばダニエル・カーネマンの研究で、仮釈放手続きの統計データをとったところ、陪審員たちが食事をした直後のほうが、空腹時よりも囚人に有利な裁定をする可能性が高くなったというものがあります。
最低でも2回はチェックをする
経理の仕事や時間のシフトといった数字に関した見積もりは、最低でも自分自身で2回はチェックすることです。研究者によると、「同じ問題に対して2度考えることで、私たちは、自動的に記憶の中から反証や参考例をを引き出せる。結果として、1回目と異なった答えが生まれることになる。」とのことです。
ここで重要なのは、あくまでも「自分1人で同じ問題について2回は考える」という点です。
他人の意見を参考にしたときよりも、およそ0.5ポイントも正確性が高いというデータがあるそうでです。
事前に明確な計画を書きだす
大多数の人は、仕事などの長期的な目標があっても、動画視聴などの目前の欲望に負けてしまいます。
ただし、事前に明確な計画を紙に書きだすことで、目標の達成率は高くなるそうです。
これには、「実行の先送りや物忘れをふせぎ、目標を達成する明確な効果がある」と研究者はコメントしています。
論文で引用されている2012年の研究では、インフルエンザワクチンの具体的な場所や日程を書き出すように指示された被験者は、予防接種をしてくれる確率が格段に高まったそうです。
自分には意志力がないということを認識する
論文によると、大多数の人は「その時になれば頑張れるハズだ!」と思い込む傾向が強いです。
それに反して、仕事の締め切りなど自制心が必要な状況では、簡単に欲望に負けてしまう傾向が強いものです。
まずは、「自分には何も能力がない」と認識するところから始めることです。大体は未来の自分のほうが能力が高くなっていますので、現在の時点で未来の行動を明確に計画して、あとはひたすらその計画に沿って行動することが良いようです。
バイアスがかかってしまうのは仕方がありません。
しかし、その度合いがあまりにもひどすぎると、知性が低いと認定せざるを得なくなります。
実力がある人ほど、物事の複雑さを理解しているもので、実力をつけていくほどに謙虚になっていくものです。
「自分はまだまだ。」と認め、自分のアクションがどういった未来になるのかを想定すると、限りなくバイアスを回避することができるそうな。
謙虚であることが大切ですね…。
【参考文献】