みなさんも聞いたことがある「速筋」と「遅筋」。
筋肉には、パワーはあるものの疲れやすい「速筋」と、パワーはないものの疲れにくい「遅筋」の2種類があります。ざっくり言うと、野球の野手なんかは速筋が有利ですし、持久力がものをいうマラソンなんかは遅筋が有利ですね。
大ざっぱなことはわかるものの、『具体的にどれくらい疲労に違いがあるのかな?』…という疑問があるのかと思います。
なので、今回は、そのことについて解説をしていきますね~。
筋トレをするにあたり、この違いは参考になるものかと!
速筋と遅筋の疲労の差について
2020年に出た研究で、20名の若い男性を対象に、速筋と遅筋の割合がトレーニングの回復度に及ぼす影響について調査してくれているものがあります。
キチンとしたデータを取るにあたり、参加者の半数が速筋の割合が平均以上で、残り半数は遅筋の割合が平均以上になるように調整して募集したとのこと。
調査の方法ですが、
- まずは、参加者全員に30秒のサイクリングをフルパワーで3セットおこなってもらう
- 10, 20, 30, 50, 80, 120, 300分ごとの大腿部の筋肉疲労をチェックする
という感じで、無酸素運動をおこなってもらったうえで、その後の回復具合の違いを比較していったというわけですね。
その結果なのですが、
- サイクリングの成績自体は両者で差異がなかった
- しかし、遅筋が多い人はサイクリングから20分でパワーが回復したのに対し、速筋が多い人は300分後もパワーの低下がみられた
とのこと…。
速筋が多い人ですが、スタート時の瞬発力こそ高いものの、その代償として疲労がかなり回復しにくい様子です(まあ、昔から言われていたことではありますが)。
20分と300分(=5時間)ではかなり明確な違いで、速筋の割合が多い人ほど、身体のメンテナンスには気を遣った方が一番ですね
ということで、速筋と遅筋の疲労回復の違いについて解説していきました!
これだけハッキリとした差があるものですから、スポーツをしている人なら、どの種類の筋肉に焦点をあてて筋トレすればいいのか気を配った方が良さげですね。
まあ、実際のところ、自分の筋肉の割合を理解するのは難しいです(汗)
ですが、1989年に「大まかな速筋と遅筋の割合を推測する方法」を筑波大学などの先生方が導き出してくださっていますので、それをご紹介します。
■大まかな推測方法■
- 50m走を全力ダッシュしてタイムを計測する
- 12分間走で走破した距離を計測する
- ステップ1と2の平均速度を計算する。各平均速度ですが、50m走の平均速度は「50÷50m走のタイム」で計算し、12分走の平均速度は「走破した距離(m)÷720」で計算する
- 「1の平均速度÷2の平均速度」を出す
- 結果を下の表と照らし合わせる
数値 | 速筋の割合 |
1.2 | 24% |
1.3 | 30% |
1.4 | 38% |
1.5 | 45% |
1.6 | 52% |
1.7 | 59% |
1.8 | 66% |
1.9 | 73% |
2.0 | 80% |
2.1 | 87% |
2.2 | 94% |
あくまでも大まかな計算方法でして、かなり細かく求めるのであれば、専門機関で調べるのでしょうな~~。
最近は疲れやすくなっている気がしますので、たぶん速筋の割合が多いかも?…と、筋肉のせいにします(笑)
【参考文献】
[Muscle fiber typology substantially influences time to recover from high-intensity exercise]